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隠匿の令嬢
第13章 知られざる秘密


 リリスの衝撃の告白に、アリエッタは胸を抉られる。


 嫌われているのは、憎まれているのは怪我をさせたから──そうだとばかり思っていた。


「リリス……」


 洩れる声に悲哀を浮かべ、おどろおどろしい光をオリーブ色の瞳から迸らせるリリスを見詰める。


「ずっと憎らしかった。綺麗で優しくて、みんなから慕われて……。頭だって良くて、絵の才能だってある。私はなにもなかった! お父さまとお母さまに好かれてたって、娘だからだもの! みんなやライアンに……っ!」


 取り乱し、涙ながらに叫ぶリリスがはたと止まる。


 ──ライアン?


 その名にアリエッタは心当たりがあった。ザキファス家と昔から縁のある辺境伯の嫡男の名だ。


 随分と長く逢ってはいないが、彼もまた幼馴染みであった。父がアリエッタを隠すようになってから、一度だけ彼と話した。


 彼の父もライアンも父になんらかの口止めをされ、アリエッタの置かれる状況を助けてやれないと謝罪してしたのを覚えてた。


 しかしなぜライアンの名が? まさか──。


「もういやっ!」


 アリエッタが疑問の答えを導き出したとほぼ同時に、リリスが短く声を上げ、駆け出した。






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