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隠匿の令嬢
第13章 知られざる秘密
リリスがリビングを飛び出した。
咄嗟にあとを追ったのはアリエッタだった。
自然と身体が動いていた。本能がそうさせたのだ。
真実から眼を背け、リリスから逃げ。言い訳もせずに殻に閉じ籠ってしまっていた。それがみんなのためであると信じて。
違った。そうではなかった。
アリエッタのすべきことは両親やリリスと向き合い、なんとかコックを助ける道を探してあげるべきだった。
これはリリスと向き合える最初で最後の機会。レオが与えてくれた、アリエッタが殻を打ち破るチャンスなのだ。
ドロワーズの裾が見えるのも構わず、スカートを持ち上げてリリスを追う。
階段を駆け上がり、自室に飛び込もうとする彼女の手首を捕まえたのは、扉を開ける寸前だった。
その手をあらんかぎりで振り払おうとされても、アリエッタは離さない。
「リリス! お願いだから聞いてちょうだい!」
自分でも驚くほど大きな声。肩で息をし、まだ振り払おうとするリリスを背から包んだ。
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