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隠匿の令嬢
第13章 知られざる秘密
「ライアンはね。私と話すときいつもリリスのことばかり訊いてきたわ」
「……え?」
「あなたになにをあげたら喜ぶか、どんなことが好きか、花はなにが好きか……。リリスが怪我をしてからも、慰めるにはどうすればいいかって。すごく心配もしていたし、手袋で傷を隠すあなたの心を気遣ってた。“僕なら気にさせたりしないのに”って」
「う、そ……」
「本当よ? ライアンはあなたのことがきっと好きなのよ。ごめんなさい。すぐに伝えるべきだったのに、心を閉ざしてしまったあなたに届かないと思って……。私もあなたから逃げていたから……。ごめんなさい、リリス。不甲斐ない姉でごめんね」
キュッと握るアリエッタの手の上。雫がこぼれ落ちた。
「じゃあ……私、ひとりで勘違いして……。なんて……ことを!」
リリスは初恋の相手をアリエッタに盗られてしまったと思い込み、真実を闇へと葬り、暴挙に出た。
擦れ違いと思い違いが生んだ悲劇。
それに気づいたリリスは涙を流すアリエッタに震える眼差しを送る。
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