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隠匿の令嬢
第13章 知られざる秘密
「ご……めんな、さい……。お姉さま……ごめんなさい!」
幼さを残すリリスの顔が悲痛に歪む。
そのリリスをまた抱き締める。
「謝らないで、リリス。私が悪いの。もっと早くこうしてあなたと向き合ってれば、あなたを苦しませることもなかったの」
「お姉さま……」
抱き締め返してくる腕の温かさが、アリエッタの冷えた心に染み込む。
リリスもそうであって欲しいと願い、背中を擦った。
「私たち、たくさん間違いを犯したわ。でももう一度、仲のいい姉妹に戻れるわよね?」
落ち着きを取り戻し、幼い頃のように手を繋いでリビングに帰る道すがら、アリエッタは望みを込めて問う。
リリスの手を握る力が強くなる。
「えぇ、きっと……。これからは私も罪を償うわ。我が儘も言わない。だから妹でいさせて」
「償わなくていいの。また昔みたいに笑ってくれるだけで。私もいい姉になれるよう、努力するわ」
リリスとのわだかまりがすべて払われたどうかは解らない。けれどリリスの色彩の黒が薄れ、白が混ざっていた。
同じよう、二人を覆う厚い雲も光が射し始めた。
今はそれだけでいい。これは始まり。ここが再出発のラインなのだ。
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