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隠匿の令嬢
第13章 知られざる秘密



 ザキファス家が歪んだ元凶。それは公爵にあるとレオは考えていた。


 アリエッタの予想通り、レオは公爵の本質を見抜いていた。権力欲にまみれ、矜持が異常に高く、そのくせ子供のように自己をコントロール出来ない。


 この男をどうにかしなければ、悲劇は繰り返される。従わせるのは簡単だ。王太子という立場を使えば。


 ただどうにも簡単に終わらせられない。アリエッタのこれまでを思えば、終わらせてはいけないのだ。


 アリエッタが受けてきた屈辱のほんの僅かでも返したい。彼女はレオの庇護下にいれば安全だ。睨みを利かせているうちはリリスもだ。


「先程も申し上げましたが、彼女からは過去に関する話を一度も聞いてはおりません。では私がどこでアリエッタのことや、リリス嬢の怪我に関することを聞いたと思いますか?」


 わざと謎かけのように問えば、公爵は困惑を浮かべる。


 レオにフッと口許に弧を描く。


「私が聞いたのは──……」


 レオの告げた名に、公爵と夫人は驚愕に眼を見張った。





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