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隠匿の令嬢
第13章 知られざる秘密
アリエッタの学校に提出された名は『アリエッタ・ザキファス』と本名であった。
なのにベオグラードとアリエッタ自身が名乗り、レポートをその名で提出しても、誰も不思議に思わない。
教授がアリエッタのレポートを手にした時点で細工をしているだろうと、すぐ思い当たった。そして証拠もすでに掴んでいる。
「偽称も買収も立派な罪ですよ。領地の一部取り上げ、もしくは相当額の罰金。他にあなたがしてきた不正を調べ上げれば、爵位の取り上げも免れないかもしれませんね」
「そ……そんなこと……馬鹿な……!」
ブルブルと唇を震わせ、恐怖とも憤慨とも取れる表情の公爵に笑みを向ける。
「どうでしょう? ここは痛み分け、ということで。公爵は今後一切アリエッタに対し不当な扱いをしない。もちろんリリス嬢にも。出来れば私と彼のことも不問にしていただければ、今回あなたのしでかしたすべてに眼を瞑りますよ」
唸り、項垂れる公爵に追い討ちをかける。
「ですが勘違いなきよう。私が眼を瞑るのは公爵のためでも、ましてや保身のためでもありません。アリエッタと“彼”のためです。見逃すのは今回限りですので、肝に銘じておいてください」
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