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隠匿の令嬢
第13章 知られざる秘密



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 ザキファス邸玄関ホールを出る間際。母が追い掛け呼び止める。


「この度は、本当にありがとうございました。殿下には感謝し尽くせません」


「感謝などとんでもない」


「いえ……。この家は形ばかりの平穏を保っておりました。アリエッタの……娘の犠牲の上に立っていることから、私も眼を背けておりました。……ごめんなさいね、アリエッタ」


「お母さま……。もう済んだことです。それよりもリリスをお願いできますか?」


「ええ。もちろんよ。私ももっとしっかりするわ。次にアリエッタが帰ってきたとき、居心地の良い家にしてみせます」


 母に抱き締められ、温もりを一身に感じる。


「殿下。どうかこの子をよろしくお願いします」


「はい、お任せください」




 母に見送られ、馬車に乗って邸をあとにする。


 父とはあまり打ち解けられなかった。けれど母とリリスとの関係に良い方向への兆しが見えた。


 アリエッタの表情は行きとは別人の、どこか晴れやかで憑き物が落ちたようであった。





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