この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
隠匿の令嬢
第13章 知られざる秘密
馬車に揺られる道中。正面に座すレオに微笑みかける。
「レオ、ありがとう」
礼を言うとレオは意外そうに眼を丸める。
「まさか礼を言われるとは思ってなかった」
「どうして?」
「いや。勝手にこんなことをして、叱られるのを覚悟してたんだ」
レオは腕を伸ばし、アリエッタの手を取る。
「相談もせず、キミの家を掻き回して悪かった」
「レオ……。いいえ、いいの。もし先に聞いてしまっていたら、私きっと止めていたわ。みんなの本当の気持ちを考えもしなかった。全部私が背負ってしまえば、丸くおさまるなんて浅はかだった」
忘れていたのだから仕方ないなんて、逃げ口上だ。吐き出せない辛さをアリエッタは身をもって知っている。リリスにも使用人たちにも同じ思いを味わわせてしまった。
波風を立たせなければ、その先にある真の平穏はこないというのに。
.