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隠匿の令嬢
第14章 束の間の幸福と崩落の足音
「嫌よ。どーせ近いうちにあたしんところに回ってくるんだから、自由を満喫させてよ」
「あのなぁ……」
「あっ! そうそう。その話が出たから聞くけど、“彼女”ってどんな方なの?」
「どんなって……。逢えばわかる」
興味深げなセドリックにレオは素っ気なく答える。“彼女”に逢えば恐らくセドリックは大いに驚くであろうが、先に教えても悪戯に心配をかけるだけだ。
どの道セドリックは心配するだろうが、長く煩わせてもと敢えて言わなかった。
「もー、冷たいわね。アリエッタには教えたの?」
「いや、まだだ。お前は人のことより、自分のことを気にかけろ。俺が執務を出来なくなる分、セドがやらなくてはならないんだぞ。今から馴らしておくべきじゃないか?」
トントンと書類を指で叩くと、セドリックは慌てて扉口へと行く。
「だから、自由を満喫させてってば。それにニーナのところに行かなくちゃ! じゃあね」
逃げようとするセドリックをねめつけると、慌ただしく去っていった。
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