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隠匿の令嬢
第14章 束の間の幸福と崩落の足音



「キッシュ、お願い……。もう少しだけ……」


「いけません、アリエッタ様。レオ様に叱られてしまいますから……」


 サロンで繰り広げられる睦言のような会話にレオは歯噛みし、込み上げる憤りのまま強く床を踏み、サロンの中へと入ると──。


「お前たちなにを……!?」


「わっ!」


「きゃあ……!」


 レオが入ったちょうどその時、アリエッタとキッシュがもつれ合うよソファーに倒れ込んだ。


 キッシュは両手で皿を掲げ、彼の上にはアリエッタが倒れている。


「いてて……って、わー! レ、レオ様!? あ、アリエッタ様だめですよ!」


 レオの存在に気がついたキッシュは青ざめるが、アリエッタが皿へと手を伸ばすとそれどころではなくなる。


 アリエッタは皿からなにかを掴むと、むくりと起き上がり、それを口へと入れた。


 ソファーと向かい合う椅子では、ナキラが身体を揺らして座っていた。


 この状況がまったく解らず、レオは立ち尽くす。





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