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隠匿の令嬢
第14章 束の間の幸福と崩落の足音
「レオ様、誤解しないでくださいよ! 僕、なんにもしてませんからねっ! あー、もー! アリエッタ様はもう食べないでくださいってば!!」
狼狽えるキッシュの様子から、心配した事態でないことは呑み込めた。
だがいつまでもアリエッタをキッシュに乗せているのが癪でアリエッタを抱き上げ立たせると、蜂蜜色の髪をはためかせ振り返った。
「あ……レオ様」
紅潮した頬を緩ませ、ふわりとアリエッタが笑いかける。
「アリエッタ?」
敬称を付け名を呼ばれ、レオは眉を顰める。しかし彼女から香る甘い匂いに混じり、酒の香りでアリエッタが酔っているのだと解る。
「酒を呑ませたのか?」
「ち、違います!」
キッシュに問うとかぶりを振った。
「それについては私からご説明します」
追い掛けてきたジョシュアが僅かに息を切らし、渋い表情でレオの背後から声をかけた。
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