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第14章 束の間の幸福と崩落の足音

「原因はこれでございます」


　ジョシュアはキッシュから皿を受け取ると、レオに差し出す。そこには丸いチョコレートが盛られていた。


「これがどうした？」


「ひとつ召し上がられれば、おわかりかと」


　軽く頭を下げるジョシュアと、にこにことしているアリエッタを交互に見遣り、渋々ひとつ摘まむ。


　甘い物を好まないレオにジョシュアが勧めるのはそれなりの理由があってのことだろう。


　口に放り込み噛み砕くと、カカオの濃厚な味よりも先に、思わず顔を顰めてしまうほど強い酒が口の中に広がる。


「な、んだこれは」


　なんとか呑み込むものの、喉が焼けつく酒にますます顔を顰めた。


「セドリック様がお作りになられた、チョコレートボンボンにございます」


「そんなことは聞いてない！　あいつはなんでこんな強い酒を菓子なんかに……」


　この場にセドリックがいたら、馬鹿かと罵ってやりたくなる。





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