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隠匿の令嬢
第14章 束の間の幸福と崩落の足音



 つまりはなんの疑いもなくチョコレートを口にしたアリエッタは、中に潜んでいた酒に酔い。


 同じくナキラも被害に遭ってしまい、あとから食べようとしたキッシュは難を逃れ。


 もっと、と欲しがるアリエッタから取り上げ、避けていたところにレオがサロンに着いた……というのが事のあらましだった。


「申し訳ありません。私が騒ぎを聞き付け駆けつけたときにはすでにアリエッタ様はこのご様子で。無闇に触れるわけにもいかず、レオ様をお呼びした次第にございます」


「あー、ったく。次に逢ったらあいつ、ただじゃおかない」


「セドリック様をお呼びしますか?」


「いや、いい。それよりもアリエッタを休ませねば」


 酔った彼女は危険だ。今もレオがしっかりと抱き締めていないと、逃れ、ジョシュアからチョコレートを取ろうともがいている。


「レオ様、もうひとつだけ食べさせてください」


 上目遣いで懇願されると赦してやりそうになるが、首を振って彼女を横抱きに抱えた。


「チョコレートなら他に用意してやるから、それは駄目だ」


 酩酊し、トロンとする彼女を他の男の前に晒しておけず、自室へと運びこんだ。






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