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隠匿の令嬢
第14章 束の間の幸福と崩落の足音
「ずるいです……」
「は?」
唇を尖らせるアリエッタの言葉に問い返す。拗ねている訳が解らない。
「だって私だけいつも脱いでます」
「それは……俺にも脱げと言うのか?」
行為をしようとしているでもないのに、彼女は口走ってる意味も解っていないのだろう。
けれど愛らしく拗ねるアリエッタに苦笑し、望みのままに上着とシャツを脱ぎ去る。
「これでいいか?」
問うと彼女は掌に顔を埋めてしまう。
「やっぱりずるいです」
「キミが脱げと言ったんだろ」
「あ……だって。綺麗過ぎます」
意外な返答にレオは眼を丸くする。毎晩のように見ているだろうレオの裸への称賛に、笑いとともに脱力した。
綺麗なのはアリエッタだ。子供のように純粋な心を持ち、婀娜めく面も持ち合わせ。
二日と空けられず彼女を抱いてしまいたくなるほどレオを溺れさせているのに。無自覚なのがなお悪い。
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