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隠匿の令嬢
第14章 束の間の幸福と崩落の足音


「もういいから寝ろ」


 忍び笑いアリエッタを横たえ腕に抱く。大人しく腕におさまる彼女が僅かに身を寄せてきた。


 柔らかな感触に、抱く気はなくても昂ってしまう。人の気も知らず、無邪気に擦り寄ってくる彼女が少しだけ恨めしい。


 はぁ……と小さく嘆息したとき。とろりと瞼を落としかけていたアリエッタがレオを見上げる。


「あ、の……。当たってます」


 トラウザーズを押し上げる欲望がアリエッタ腹部にあるのを気付かれ、気まずさに眼を逸らす。


「生理現象だ。気にするな」


 素っ気なく言えば、アリエッタがもぞっと動き、股間に手を添わせてきた。


「でも、その……。辛くないですか? いい、ですよ。私はレオ様の……」


 アリエッタは羞恥からか一度視線を落とし、そしてまたレオを見上げにこりと微笑んだ。


 酩酊での大胆な行動だとは解っている。だがアリエッタのその一言で、レオの中に身を潜める獣性が舌舐めずりをし、頭をもたげた。


「まったく……。キミはどこまで俺を溺れさせる気だ。どうなっても知らないからな」


 恐らく次に目覚めたときには忘れ去られているだろう台詞を吐き、彼女の唇を奪う。






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