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隠匿の令嬢
第15章 病みゆく心
だがレオは王太子だ。長期休暇の間もしょっちゅう近隣の街を視察に行ってはいたし、学校が始まってからも時々王に代わって公務のために邸を空けることもあった。
王城に泊まらなくてはいけないことだってあったのだ。邸を長く空けても不思議ではない。
「お仕事で?」
アリエッタは動揺を取り繕い、和やかに訊ねる。
「ああ、まぁ………」
レオはなぜか歯切れが悪く、カモミールティーを一口飲み下すと、カップを置いた。
「実はカンターヌの王女がラインハルトに留学してくることになってるんだ」
「王女様が?」
「ああ。その彼女のお目付け役に俺が任じられたんだ」
レオは肩を竦める。
詳しく話してくれたレオによれば、こうだった。
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