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隠匿の令嬢
第15章 病みゆく心
ラインハルトにリンゼイの来国許可を申し立てる書状が届いたのは、約二ヶ月前。
それによると、学校に通ったことのないリンゼイをラインハルトの王都国立学校に留学させてくれないか、とのことだったらしい。
王女が単身他国へと訪れることに懸念の声も上がったが、カンターヌとの関係性を思えば無下に断る訳にもいかず、受け入れる流れとなった。
留学中、学校へばかり通うわけではなく、王女としての経験も積むことも兼ね、視察もさせてほしいとも書状には添えられていた。
「彼女はカンターヌから出たことはないし、知り合いらしい知り合いも父上や母上、それに俺や側近くらいしかいないからな。そこで彼女のエスコート役の白羽の矢が俺に立ったってわけだ」
「レオは王女さまにお逢いしたことがあるの?」
「ん? ああ。以前父上についてカンターヌを訪れた際にな」
「そう、なの」
アリエッタはこのとき、ふいにざわめきのようなものを覚えた。
理由は解らないが、ほんの一瞬、リンゼイと逢ったと言ったレオの表情と色彩が複雑に揺らめいたように見えたからだ。
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