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隠匿の令嬢
第15章 病みゆく心
「夜会もこれから頻繁に出席しなければならなくなる。視察も下手したら何日もかけて行かなきゃならないかもしれない。その間、アリエッタには淋しい思いをさせるが……大丈夫か?」
アリエッタを案じるレオに微笑む。
「私のことは心配しないで。レオも忙しくなるでしょうから、体調には気を付けてね」
一切の不安を見せずにいれば、レオは困ったように片眉を上げる。
「あまり淋しがられないのも、俺としては複雑なんだがな」
「お仕事なんですもの。それに心細いのはきっと王女さまよ。私のことはいいから、王女さまを気遣ってあげて」
「解った、解った。アリエッタと話してると、まるで俺が聞き分けのない子供みたいな気分になるな」
またレオは肩を竦めた。アリエッタはその様子を笑って見ていた。
けれどその笑顔は誤魔化しでしかなかった。
アリエッタの心中には言い様もない淋しさが渦巻いていたのだ。
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