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隠匿の令嬢
第15章 病みゆく心
学校生活は残り二ヶ月。つまりはそれまでにレオの肖像画を仕上げなくてはならない。
そしてアリエッタがレオの邸にいられる期限でもある。
何度も描き直してきたせいで予定よりも随分と時間がかかってしまった絵は、完成の目処がようやくたってきた。
それでも一日でも長くレオといたいという想いがあるからか、仕上がりは期限内ギリギリといったところだろう。
あと二ヶ月……。残り僅かの時間を目一杯レオの傍で過ごしたい。アリエッタの心から願っていたことは、王女の訪問で打ち砕かれた。
だがレオの公務に口を挟めるはずはない。身分を取り戻していても、公爵の娘と王太子の地位にあるレオとの差は雲泥だ。
なによりも彼の邪魔はしたくはないし、アリエッタに口を挟む権利もない。
恋人ならば可愛らしく拗ねて見せることも出来たかもしれぬが、アリエッタはそうではないのだから。
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