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隠匿の令嬢
第15章 病みゆく心
レオとリンゼイが馬車から降り立つと、近くにいた数人の学生が挨拶だろうか、話し掛けている。
二日前にラインハルトに到着したというリンゼイは、旅の疲れを王城で癒し、今日から登校したのだ。
アリエッタはその旨を出迎えのために王城にその日から泊まり込んでいるレオから手紙で知らせを受けていた。
遠目に見るリンゼイは白に近いトゥーヘアードの長く滑らかな髪に、ぱっちりとした勿忘草色の瞳。肌は抜けるように白く、アリエッタと同年だというが幼さの残す顔は可憐で。
王族ならではなのだろうか、気品が漂い、仕種ひとつとっても優雅だ。
だがアリエッタが釘付けになっていたのは二日ぶりに見るレオだった。
リンゼイの横で穏やかに微笑む彼がふとしたとにに見せた眼差しが、アリエッタの網膜に貼り付いた。
レオの複雑な色彩の正体がようやく解った。
彼女だ──彼女だったのだ。
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