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隠匿の令嬢
第3章 肉食獣は紳士の仮面を被る



 こうなったら一日でも早く描き尽くし、レオに返すしかない。


 アリエッタは毎日足しげく通った。休日はやるべきことをやってからも足を運んだ。


 しかしこの温室の花といったら前日に開いていずとも次の日には花を咲かせていたり、庭師がいつのまにか新たな植物を植えていたり、鉢植えも入れ替えられていたりするのだ。


 これではいつまで経っても描ききれる目処が立たない。アリエッタは描く対象が増えて嬉しいやら困るやらで。


 そうした日々を過ごすなか、毎日レオが顔を見せるわけでないのを知った。


 その方が気が楽なのだが、不定期に現れるのも心臓に悪い。


 けれどあの日のようにレオから触れてくることはなく。二言、三言話す程度であった。


 そこから変化したのは、通い始めて二週間経った頃だった。





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