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隠匿の令嬢
第15章 病みゆく心
「ナキラ!? 待って! レオが帰ってくるのに、どうして身体を清めるの?」
「そりゃあ決まってるじゃないですか。久しぶりに帰ってらっしゃるんですよ? あとからご一緒に入られるとしても、身だしなみを整えておくことに越したことはありませんよ」
「一緒にって……」
レオと寝室を共にしているのだから、周りに知られているのは仕方のないことであるが、いざ指摘されアリエッタは顔を真っ赤に染め上げる。
「ひ……ひとりで出来るから……」
アリエッタが弱々しく断ってもナキラは引こうとしなかった。しかしナキラをどうにか説得し、浴室へ逃げ込む。
「お髪とドレスの着替えはさせてもらいますからね!」
浴室の扉の向こう側からナキラの叫びが追い掛けてきて、アリエッタは居たたまれない気持ちで聞いていた。
ひとり浴槽に浸かっていると、レオが帰ってくることがじわじわと身に染みてくる。
けれど浮かれる気持ちが浮上しきらなかった。
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