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隠匿の令嬢
第15章 病みゆく心
レオと逢える、声が聴ける、もしかしたら触れ合える。アリエッタの望みが叶うのだ。嬉しくないわけではない。
だがどうしてもレオを思い浮かべるとリンゼイも同時に浮かんでしまう。
レオの想い人に気付かなければ、今ごろ浮かれきっていただろう。けれど何日もレオはリンゼイと過ごしている。もう想いを告げただろうか。リンゼイの気持ちを掴めただろうか。
王城での生活が窺えない分、すでに寝室も共にしているのではとさえ考えてしまう。
相手の顔を知ってしまうと、より生々しく想像できてしまい、胸が苦しくて痛くてどうしようもない。
アリエッタの頬にお湯とは違う雫が流れ落ちる。
シャボンが滲みたせいだと思い込んでも、目頭の熱さを止められない。
泣き顔で出ていったらナキラに心配をかけてしまう。シャワーのコックを捻り、顔に浴びせ続けたのだった。
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