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隠匿の令嬢
第15章 病みゆく心
ナキラの見立てで真新しいドレスを纏い、優雅に髪を結ってもらい、薄く化粧まで施されたころ。
別の侍女がレオ到着の知らせを持ってやって来た。
「アリエッタ様。お出迎えして差し上げましょう」
「そうね」
心にかかった靄を見せず、アリエッタは笑顔で答える。
そうしてナキラに伴われ、玄関ホールでレオを待つ。
ドキドキと胸が高鳴るのは嬉しさ半分、不安半分であったが、周囲に悟られてはならない。
口許に笑みを湛えたまま、扉が開かれるのを待った。
そして音もなく開かれた扉から入ってきた人物。それはレオではなく──リンゼイであった。
「あ」の形を唇が型どったまま、息が止まる。
リンゼイのすぐあとにレオの姿を認め、心臓まで止まりそうであった。
2人が並び立つ姿を間近で眼の当たりにしたアリエッタは、荒れ狂っていたはずの心が不思議と凪いでいったのを感じていた。
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