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隠匿の令嬢
第15章 病みゆく心


「アリエッタ」


 久しぶりに聴いたレオの甘く低い声にはたとなり、咄嗟に笑顔を取り繕う。


「王女のことはもう知っているな? 今夜の晩餐に招待したんだ」


「突然お邪魔して申し訳ありません。リンゼイ・バジェットと申します」


 リンゼイはよく通る澄んだ声でスカートを広げ、膝を折って挨拶をした。


 アリエッタもそれに倣い、挨拶を返す。


「アリエッタ・ザキファスと申します。こちらのお邸でお世話になりながら、絵を描かせていただいてます」


 レオとは絵の繋がりしかないと強調しなくてはならないと、そう告げる。


「殿下からお噂は聞いてますわ。ぜひ一度アリエッタ様の絵を拝見させてください」


 ふわりと笑うリンゼイはアリエッタから見ても可愛らしく、魅力的な女性だった。


「はい、ですが……」


「王女。申し訳ない。アリエッタの絵は完成してからでないと、私も見ないことにしているんです」


「そうなんですか。でしたら完成した際にはぜひ」


「はい」


「王女。こちらへどうぞ」


 レオの先導でダイニングへと向かう。アリエッタと共にレオの出迎えに来ていたナキラたち侍女がアリエッタを気遣わしげに見ていた。






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