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隠匿の令嬢
第15章 病みゆく心
テーブルの端にはレオが、その背後にはジョシュアが控え、アリエッタとリンゼイは向かい合って座っていた。
次々と運ばれる料理は豪華で、突然の来客にもコックは問題なく対応している。
アリエッタは胸が苦しく食欲はなかったが、いつも通り嚥下していった。
食事の最中、交わされる会話は和やかで、アリエッタは終始笑顔を貫いた。
その会話で窺えたリンゼイの人柄は穏やかで、控え目で、それでいて話術に長けていた。
そして気づいてしまった。リンゼイが時おりレオの方を見ては、隠しきれない熱い視線を送っていることに。
レオもまたリンゼイにあの優しい眼差しを投げている。
──ああ、二人の想いは通じあっているのね。
アリエッタは笑顔でありながら、辛い胸の内を隠し通す。
テーブルクロスの下で痛いほど拳を握り締めながら。
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