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隠匿の令嬢
第15章 病みゆく心



 食事をどうにかすべて嚥下し終えると、ジョシュアが食後のお茶の準備に取り掛かった。


「ジョシュアさん、ごめんなさい。私の分はいいです」


 ジョシュアを止め、静かに立ち上がる。


「王女さま。私はこれで失礼させていただきますね」


「どうかなさったの?」


「実は急ぎのレポートを仕上げなくてはならなくて」


「そうでしたの。じゃあ無理にお引き留めしても悪いわよね。アリエッタ様、とても楽しい時間でしたわ。またお話してくださる?」


「はい。私も王女さまとこうして食事ができ、大変光栄です。ありがとうございます」


 アリエッタは恭しく一礼し、ダイニングを出る。


 するとあとから追い掛けてくる足音と「アリエッタ」の呼び止める声がした。


 アリエッタの心臓は嫌な音色を奏でるが、ひっそりとひとつ息をつき、笑みを作って振り返った。








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