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隠匿の令嬢
第15章 病みゆく心
「レオ。駄目じゃない、王女さまをお一人で残してきちゃ」
にこりとして見上げると、レオは肩を竦める。
「すぐに戻る。それよりこんな時間からレポートか?」
「ええ。王女さまがお見えになるって知ってたら、早く仕上げてたんだけど……ごめんなさい」
このときばかりは申し訳なさそうに眉を垂れる。
「いや、急にお連れした俺が悪いんだが……。あまり無理はするなよ」
「平気よ。図書館借りるわね」
「ああ。あとわかってるとは思うが、彼女は」
「大丈夫。わかってるから。レオはもう戻って?」
レオの言葉を遮り、アリエッタは明るく言う。
レオは顔を傾けアリエッタの表情を覗き込んできたが、納得したように頷く。そして引き寄せ、髪に軽くキスを落とした。
「もう少ししたらこっちにも帰れるようになるから」
「ええ」
レオが戻るのを見送ってからアリエッタは図書館へと足を運んだ。
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