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隠匿の令嬢
第15章 病みゆく心
「……アリエッタは? あんたは良くてもアリエッタは大丈夫なの?」
レオは一昨日の夜に逢ったアリエッタの様子を思い起こし、頷く。
「彼女と話したが、大丈夫そうだった」
アリエッタの笑顔には翳りはなかった。アリエッタだってレオの気持ちは知っているはずだ。
セドリックの杞憂は考え過ぎだろう。
「ならいいけど……。じゃあ、あたし帰るわね」
訪問と同様、セドリックは慌ただしく去っていった。
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同じ頃、アリエッタはこの日もアトリエでキャンバスに油絵の具を乗せていた。
流れるように筆を滑らせたり、手首をスナップさせ叩くよう小刻みに乗せたり。
徐々に出来上がるレオの肖像画は、やっと固まったイメージ通りに進んでいた。
パレットに残る絵の具が少なくなり、新たな絵の具を出そうとした刹那。アリエッタの手が止まる。
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