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隠匿の令嬢
第15章 病みゆく心



 レオはリンゼイという最愛の人を得た。だからもう、アリエッタはレオに触れてはもらえないのだと思っていた。


 レオの部屋に未練たらしく居続けているのは、邸の主であるレオの許可なく、別の部屋に移動するのが躊躇われたから。


 リンゼイが晩餐に招かれた夜も図書館からなかなか動けなかったのは、この部屋に戻っていいものか迷ったから。


 そしてなにより、正面きってレオに別の部屋を使えと言われるのが恐かった。


 だが二人が王城へ戻ると聞いたとき、淋しい反面安堵した。


 幾度となくレオに抱かれた同じ部屋で、リンゼイも甘いひとときに酔わされているのを見せつけられでもしたら、きっと正気を保ってはいられなかっただろう。


 ピンと張りつめ、ギリギリを保っている神経が無惨にも崩されてしまってもいただろう。そうすれば二度と笑顔でいられる自信はなかった。







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