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隠匿の令嬢
第15章 病みゆく心
その日以降、レオは度々邸に戻るようになった。学校帰りにそのまま戻ることもあれば、夜会に出席し、朝方アリエッタの寝ている間に寝台に潜り込んでいることもあった。
そんなある日。
遮光カーテンで遮られる外が白ずみ始め、鳥が囀ずる時間帯。アリエッタはふと身じろぎした拍子、微睡む意識で身体が違和感を覚えたのか眼を醒ます。
「ん……」
昨晩もレオとの情交で身体も瞼も重たかったが、違和感がそうさせてるのか薄く瞼を開く。
最初は正体が解らなかった。けれど徐々に意識がはっきりしてくるにつれ、それがなんなのかが解ってくる。
アリエッタはなんの“抵抗”もなく、そっと身を起こす。
そして隣で眠るレオの姿を翳る双眸に映し、瞠目した。
「あっ」と小さな悲鳴を上げそうになった桃色の唇を掌で塞いだのは、咄嗟であった。
その刹那、パリンと硝子が割れるような音が耳孔の奥で響いた気がした。
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