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隠匿の令嬢
第16章 灰色の世界
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「アリエッタ様。またお逢いできて嬉しいですわ」
「私もです。至らぬ点もあるとは思いますが、今日はよろしくお願いします」
レオとジョシュアが二人で出掛けるという日。
予定していた通り、リンゼイがアッシュブラン邸へとやって来た。
腰まで届く艶やかなトゥーヘアードには造花の飾りが、彼女の華やかさをいっそう強めている。
ローズレッドの花弁は幾重にもなり、精緻な金鎖や小粒の真珠の飾りが花から垂れている。
ドレスも飾りに合わせ、ローズレッドの鮮やかで大人っぽくも子供っぽくもない、リンゼイにぴったりなデザインだ。
とはいえ、色を感じられないアリエッタには容姿やデザインだけでしか彼女の華やかさを見られない。
灰色でも充分彼女は可憐だ。王女であるから当たり前だが、物語の中のお姫様のイメージそのもので、眩しい笑顔を振り撒いている。
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