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隠匿の令嬢
第16章 灰色の世界
花壇に植えられる花はラインハルトでも珍しいものが多い。
聞けば遠く東洋から買い付けてきた種や球根を、試行錯誤し咲かせているものもあるのだとか。
「これも去年は水の調整を間違えて枯らしかけたんですけど、今年はなんとか咲かせられました」
「そう。私も城の部屋で育てたことがあるんですが、お水をやり過ぎてしまったみたいで、全部駄目にしてしまったの」
「花は繊細ですからね。僕も失敗することありますよ」
リンゼイはキッシュにも親切で、その人柄に触れた彼も徐々に打ち解け、和やかに会話を交わす。
彼女がレオの妃となった暁には、彼らを大事にしてくれそうだ。
そんなリンゼイだからレオも心惹かれているのだろう。
二人が睦まじくしているところは、悔しさが沸かないほど似合いで。
人柄だって申し分なく、民に愛される妃になるのは眼に見えていた。
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