この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
隠匿の令嬢
第16章 灰色の世界
「──それでね。お兄さまやお姉さまにいつも子供扱いされてしまいますの。もう私も17ですのに」
2杯目の紅茶を呑みながら、リンゼイはアリエッタに家族の話をしてくれる。
彼女の話は退屈を相手にさせず、心地好い声も耳触りがいい。
「王太子様も姉姫様も王女さまが可愛くて仕方ないんですね」
「それは解ってるんですけど、いつまでも子供のように思われるのは、複雑なんですのよ」
そう言いながらもリンゼイは本気で困っているようには見えない。
と、ちょうど会話の切れ目。馬車の車輪が石畳を転がる音が近付いてきた。
外出していたレオたちが帰ってきたのだろう。
アリエッタが立ち上がるより先にリンゼイが席を立ち、バルコニーの際まで近寄る。
「帰ってらしたのかしら」
リンゼイは遠くを見詰め、馬車を探す。
アリエッタも遅れて立ち上がり、一歩引いてリンゼイを眺めた。
.