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隠匿の令嬢
第16章 灰色の世界



「──それでね。お兄さまやお姉さまにいつも子供扱いされてしまいますの。もう私も17ですのに」


 2杯目の紅茶を呑みながら、リンゼイはアリエッタに家族の話をしてくれる。


 彼女の話は退屈を相手にさせず、心地好い声も耳触りがいい。


「王太子様も姉姫様も王女さまが可愛くて仕方ないんですね」


「それは解ってるんですけど、いつまでも子供のように思われるのは、複雑なんですのよ」


 そう言いながらもリンゼイは本気で困っているようには見えない。


 と、ちょうど会話の切れ目。馬車の車輪が石畳を転がる音が近付いてきた。


 外出していたレオたちが帰ってきたのだろう。


 アリエッタが立ち上がるより先にリンゼイが席を立ち、バルコニーの際まで近寄る。


「帰ってらしたのかしら」


 リンゼイは遠くを見詰め、馬車を探す。


 アリエッタも遅れて立ち上がり、一歩引いてリンゼイを眺めた。





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