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隠匿の令嬢
第16章 灰色の世界




「あまり俺を煽るな。めちゃくちゃに壊したくなる」


 唇でアリエッタの耳朶を食み軽く歯を立ててくる。ピリピリとした痛みさえ気持ちよくて、悦楽で肌が総毛立つ。


「あ……、して……。めちゃくちゃにしていい、から……あ、んっ」


 レオに壊されるのなら本望だ。心も身体も、壊されるならばレオがいい。


 愚劣な妄執に囚われてしまうほど、アリエッタはレオを愛していた。生涯報われない愛だ。


 ──否。報われることは望んでいない。


 アリエッタの望みは常にひとつ。レオの永劫の幸せだ。


「だからキミは….…」


 なにかを言いかけるレオ。背に当たる肌や吐息の熱さが増した。


 その熱を散らすようレオはアリエッタを離し、リネンに押し付け腰を上げさせる。


「もっと腰を上げて……そうだ」


 レオに従い震える脚で身体を支え、リネンを握る。


「どうなっても知らんぞ」


 レオが奥歯を噛み締めたと同時、猛烈に腰を振りたくってきた。





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