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隠匿の令嬢
第3章 肉食獣は紳士の仮面を被る
「あらら、バレちゃったわね」
セドリックはいい気味とばかりに緩んだ顔で項垂れるレオを見下ろすと、アリエッタの方へと長い脚を優雅に運ぶ。
「あなたが噂のアリエッタね? こっちに来てあたしたちとお茶しましょ」
「いえ、あの……私……。申し訳ありません……」
どうやら聴かれたくない場面に出くわしてしまったようで、項垂れるレオとセドリックを交互に見遣って縮こまる。
「いいのよ。あいつの猫被りなんてどうせすぐ剥がれちゃうんだから」
「お前が言うな。……それと彼女に触るな」
セドリックがアリエッタをエスコートしようと腰に手を回しかけたとき、レオは頭を上げて不遜に言う。
「はいはい。ったく、あんたも大変ね。あんな男に眼をつけられて」
「余計なことは言うな。……とりあえずこっちにおいで、アリエッタ」
「……はい」
立ち聞きなどという淑女にあるまじき行為を恥じ入って、アリエッタはいつもより背中を丸めて歩いて行った。
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