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隠匿の令嬢
第16章 灰色の世界




 その日レオは王城に寄ってから帰るとのことで、アリエッタは緊張しながらレオの帰りを部屋で待っていた。


 時間が経つのが普段の何倍も長く感じる。座り心地のいい、ビロードが貼られたソファーにアリエッタは微動だにせず座り続ける。


 日が暮れかけた頃、ようやくレオが姿を見せ、アリエッタは乾いた喉を潤すようにこくりと喉を動かす。


「お帰りなさい」


 立ち上がって震えそうになる声でなんとかすべらかに言葉を紡ぐ。


「ああ。またすぐ出なきゃならないんだが、その前に少し話がある」


 帰って早々、レオは急いでいるのかぞんざいにアリエッタが座っていたソファーに腰をおろした。


 アリエッタは出鼻を挫かれ、困惑する。アリエッタもレオに話をしようとしていたからだ。


 けれど自分を優先させられる性格ではなく、決意が揺らぐ危惧を覚えつつもレオの横にアリエッタも腰を落とす。





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