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隠匿の令嬢
第17章 隠匿の決断
翌朝、旅立ちには最適のからりとした晴天の元、馬車の所までレオを見送るためアリエッタは邸の外に来ていた。
使用人たちは遠慮してか、邸の中でレオを見送った。なので今は二人きり。馭者は少し離れた場所で背を向けている。
「アリエッタ。最後に訊くが本当にいいんだな」
「もう……。私の心配ばかりね。大丈夫よ。それよりレオも道中気を付けてね」
「……解った。それで絵のほうは間に合うのか」
「ええ。このあと仕上げてからザキファスの邸に行くわ。ギルデロイ教授の個展も三ヶ月先だから、レオが帰ってきてからお届けすると伝えてあるの」
「そうか。楽しみにしてる」
レオはアリエッタの腰を引き寄せ、頤〈オトガイ〉に指をかけ上向かせられる。
「戻ったら真っ先にキミを迎えに行く。いい子で待ってろよ」
アリエッタは答える代わりに微笑み、その弧を描く唇にレオの口づけを受けた。
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