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隠匿の令嬢
第17章 隠匿の決断
アリエッタはその足でアトリエに行く。
スケッチブックからなにかを取り出すと、キャンバスとイーゼルの間に挟み込んだ。
そして乾いたキャンバスに白い布を被せる。
やるべきことをすべて済ませたアリエッタはその場に崩れ落ちた。
「うっ……ううっ……」
堪えきれない嗚咽が掌の中から洩れてくる。
アリエッタは決めていたのだ。もう二度とここには戻らない、と。
レオからカンターヌ行きを告げられたあの日。
アリエッタをレオが連れて行くと言われ、困惑をした。けれど彼の意図を探り、行き着いた答え。
それは──レオはリンゼイと婚約し、結婚したのちもアリエッタを離すつもりはないのだ。
つまりレオはアリエッタを妾か愛人にでもするのだろう。
答えに行き着いたとき、アリエッタは言い知れぬ恐怖に怯えた。
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