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隠匿の令嬢
第17章 隠匿の決断
「アリエッタ様! くれぐれもお身体に気を付けてくださいね! それから万一お帰りになりたくなるような事態になられましたら、このナキラを始め、私たちが総力をもってアリエッタ様をお助けしますから!」
「もう……ナキラまでそんなこと言って。ザキファスの家は化け物の巣窟じゃないんだから」
見送られる立場となったアリエッタ。使用人たちは全員揃って邸の外まで出てきている。
妙に気合いの入るナキラに苦笑してみせると「本気なんですから!」と窘められる。
他の使用人たちもナキラと同様の考えらしく、それぞれが頷いていた。
「あ、そうだ。あのね、アトリエの絵なんだけど、レオに見せるまで布は取らないでね」
「心得ておりますよ。レオ様より前に見たりはしません」
「……ありがとう」
「いいえ。アリエッタ様、行ってらっしゃいまし」
ナキラに続いて他の使用人も口々に「行ってらっしゃい」と言う。
アリエッタはやはりなにも言わず、微笑むに留め、馬車へと乗り込んだ。
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