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隠匿の令嬢
第17章 隠匿の決断
「お姉さま! お帰りなさい!」
ザキファス邸に着くとすぐ、リリスが飛び付いてくる。
アリエッタは戸惑いつつもリリスの歓迎ぶりに顔を綻ばせた。
「リリス、元気そうで安心したわ」
「お姉さまも、お変わりない?」
「ええ」
「アリエッタ。よく帰ってきてくれたわね」
リリスの後ろに立つ母が柔和な笑みを見せる。
「お母さま。ご無沙汰しております」
「挨拶はいいから。疲れてないなら、お茶にしましょう。アリエッタが帰ってくるから、たくさんお菓子を用意したのよ」
「ありがとうございます」
「お姉さま、私も手伝ったのよ? ぜひ食べてくださいね」
「リリスが? 本当に?」
「あら。私だってお菓子くらい作れますのよ?」
リリスはこの数ヵ月で随分と昔の明るさを取り戻したようで、アリエッタは胸を撫で下ろした。
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