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隠匿の令嬢
第17章 隠匿の決断
「──それでね。今年の舞踏会はライアンといくつか行く予定になってるの! あとでドレスの見立て、手伝ってくださらない?」
「ええ、いいわよ」
リリスはライアンと上手くいっているようで、嬉々として語る。それを微笑ましく思いながら、アリエッタは相槌を打つ。
ザキファスの邸は母とリリスの努力もあってか、昔よりも明るい雰囲気を漂わせていた。
父は仕事に行っているとかで、明日の夜まで戻らないらしい。
すべては明日にかかっている。
明るく昔のように慕ってくれるリリスや、弱さが無くなりつつある母への罪悪感に胸は痛む。
だが今の母とリリスならば、アリエッタがおらずともきっと大丈夫だと確信が持てる。
そうして翌日の夜。
予定通り、父が帰宅した。
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