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隠匿の令嬢
第17章 隠匿の決断



「お父さま。ご無沙汰しております」


 帰宅した父に深々と頭を下げる。


「ああ。元気でやっていたか」


「はい」


「そうか」


 短く交わす会話にも緊張してしまう。父は鋭い眼差しはそのままで、レオと訪れたときのような機嫌の良さはない。


 人を畏縮させる雰囲気もそのままだ。


「お父さま。久し振りに家族揃って食卓が囲めますわね」


 緊張するアリエッタを見兼ね、リリスがアリエッタの腕に自分のそれを絡める。そして父に見えないよう、こっそりとウインクを送ってきた。


 父のリリスへの甘さはあの事故の真相が明らかになったのちも変わらず、僅かに面持ちが優しくなった。


 リリスにも冷たく当たっていたら……と気掛かりでかったが、どうやら問題なさそうだ。


 ダイニングに両親とリリスと向かえば、何年かぶりとなる光景が広がる。


 四人での食事は遥か昔にしたようにも思えた。





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