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隠匿の令嬢
第17章 隠匿の決断



「お父さま。実はそのことでお話があります」


 アリエッタは真っ直ぐ父の眼を見て話し出す。レオの幸せを、そして立場を守るため、すべては自分にかかっている。


「なんだ。話してみなさい」


「……はい。以前、レオナルド様が私に求愛したという話。あれは事実無根です」


「なに?」


 きっぱり言い切ると、父の顔色が険を増す。過去の恐怖が甦り、怯みそうになるのを堪える。


「レオナルド様がああおっしゃったのは、私がお願いしたからなのです」


「どういう……ことだ? 解るように説明しろ」


 父の声は低くなり、唸るように言う。母とリリスはアリエッタたちのやり取りを、困惑顔で聞き入っていた。


「レオナルド様が私に求愛しているとなれば、ザキファスの家で私の扱いは良くなると思いました。ですからお父さまの前でそう言ってくださらないかと、レオナルド様にお願いしました」


「つまりお前はこの私を……父を謀ったというのか!?」


「はい」


 怒りに震える父にもアリエッタは真っ直ぐ彼を見据え、しっかりとした口調で答えた。






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