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隠匿の令嬢
第18章 王太子の過去
レオも幼いながらもカーラの言っていることは解る。だが幼さ故に素直に聞き入れられない部分もまたあった。
「けど彼らは俺のためじゃなく、給金のために教えてるんだろ。カーラだってそうじゃないか」
拗ねるように言えばカーラはきょとんとし、あっけらかんと話す。
「そりゃあ生活がありますからね。お給金のためってのもありますよ」
「ほら……」
「ですがそれだけではないのも確かです」
カーラは座り込み、レオの手を握る。
「先生方がなぜレオナルド様に逃げられても、帰られるとき笑っておられ、懲りずにまたいらっしゃるかわかりますか?」
レオは逡巡し、首を振る。給金以外の理由が思い付かないからだ。
「それはレオナルド様が大好きだからですよ」
当然とばかりに言われ、レオは琥珀色の可愛らしい瞳を丸くした。
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