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隠匿の令嬢
第18章 王太子の過去
「レオナルド様は逃げはしても、先生方を傷付けたり、辞めさせようとしたり、横暴な態度はお取りにならないでしょう?」
「だってカーラが……」
「はい。誰かに優しくされたければ……、愛されたければまずは自分が愛すること。その教えをきちんと守っておいでなのですね」
これはカーラの口癖だ。他人に優しさや愛を求めるのでなく、自分が優しさと愛を与えること。そうすれば必ずその愛は相手に伝わり、愛されることにもなる、と。物心がついた頃からカーラが口を酸っぱくして言い続けてきた言葉だ。
「先生方にレオナルド様のお優しさが伝わっているから、多少のことには眼を瞑ってくださっているのです」
カーラはレオの月色の髪を優しく撫でる。
「レオナルド様。お勉強と同じくらい遊ぶことも寝ることも大事です。ですから遊ぶ時間も寝る時間もたっぷり取ってありますでしょ?」
撫でられることに気恥ずかしさを覚えつつも、振り払う気になれない。
もう拗ねている気持ちもどこかへ行ってしまい、カーラの言葉をじっと聞く。
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