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隠匿の令嬢
第18章 王太子の過去
カーラはよく怒りもしたが、それ以上に優しく、レオの遊びにもよく付き合ってくれた。
付き合うというより、カーラがレオを強引に誘うことのほうが多かったが。
「レオナルド様! 虫捕りに参りましょう!」
「今日は魚釣りに行きますよ!」
「森に散策へ行きましょう!」
「天気がいいので、ハイキングしませんか!?」
カーラはいつもこんな調子でレオを遊びに連れ回した。その都度護衛も連れ回されることになるが、レオと一緒になって子供のように遊ぶカーラをみんなが慕っていて、嫌々ついて来る様子はまったくなかった。
もちろんレオもだ。
怒らせると父や母よりもずっと恐いのに、なぜか憎めない。カーラの人柄によるものだろう。
遊びとなればくたくたになるまで時間を忘れて遊んでくれる。
飴と鞭の使い分けもとても上手な女性であった。
だからあの日、他の侍女の質問にもレオは満面の笑みで答えたのだ。
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