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隠匿の令嬢
第18章 王太子の過去



「明日は彼女がレオナルド様のお世話を致しますので、よーく言うことを聞くんですよ」


「わかってる……」


 カーラが病気の母親を見舞うため、明日は一日休む。一日だけだ。仕方のないことだと納得させようにも、毎日一緒にいるカーラがいないのは淋しい。


 レオは頷きつつもしょぼくれていると、侍女がクスクスと笑う。


「レオナルド様は本当にカーラがお好きなんですね」


 “そんなことない”と突っぱねようかとも思ったが、思い直す。カーラはレオに大好きだと言ってくれる。そのときの嬉しい気持ちをカーラにも感じて欲しい。


「うん、大好きだぞ」


 姉のように、母のように慕うカーラへの素直な気持ちだ。


 だがレオがはっきりと口にするのはこの時が初めて。


 カーラはぱちくりと瞬いて、その眼を潤ませる。


「私はもっと、もっと大好きですよ!」


 彼女はレオをこれでもかというほど強く抱き締めてきた。




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