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隠匿の令嬢
第18章 王太子の過去



「はい、レオ兄さまには冠ね。セド兄さまにはネックレス」


 花畑でシンシアはレオとセドリックそれぞれに花で作った冠とネックレスを頭と首にかける。


 12歳にもなるシンシアは昔から子供のような遊びが好きで、二人はいつも付き合わされた。


「あら、あたしまたネックレス?」


「だってセド兄さまは女の人みたいに綺麗なんだもの。だからネックレスのほうが似合うわ」


「シンシア。こいつはこれでも女顔気にしてるんだから、あまり言ってやるな」


「レオ兄さま。私、褒めてるのよ?」


「だってよ。良かったな、セド。女顔で」


「嬉しくないわよ」


「それでシンシアはその指輪をつけるのか」


 むくれるセドリックをよそにシンシアが新たに摘んだ花で指輪を作っているのに眼を留める。


 器用に茎を絡めては結び、白い花の指輪をあっという間にシンシアは作ってしまった。


「うん。私は指輪」


 シンシアはにっこり微笑むと、指輪をレオに手渡してきた。






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