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隠匿の令嬢
第18章 王太子の過去
「ねえ、レオ」
「なんだ? 待ったはなしだぞ」
「そうじゃないわよ。シンシアのことよ」
「シンシアがどうした?」
「だから……シンシアってあんたのこと好きなんじゃないの?」
落書きだらけの顔を近付けられ、レオは眉をひそめる。
「あのなぁ……。俺たちが何年一緒に過ごしてきたと思ってるんだ? 今さらそんな感情」
「あんただって気付いてるくせに」
レオをセドリックは遮る。レオが肩を竦めると「ほら」と言った。
シンシアのここ最近の様子は確かに前とは違っていた。
レオのすることに一喜一憂し、以前のように無邪気に抱きついてきたりもしなくなり。
子供だとばかり思っていた彼女も、恋を知る年頃になったのだ。
だがそれを知っていても、どうすることも出来ない。
「でもあんたは気がない、と」
トンと駒を移動させ、セドリックが眼を眇めた。
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